しかし、子どもの頃にプログラミングを学んでいない親世代には、プログラミング教育の必要性がいまいちピンと来ないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はプログラミング教育が必修化された理由と、そのメリット・デメリットについて解説。
自宅でのプログラミング学習方法についても解説しているので、参考にしてくださいね。
小学校からプログラミングが必修化された理由
プログラミング教育が必修化された理由はいくつかありますが、やはりIT化が進む社会に必要なスキルを得られることが大きいでしょう。
IT化が進む社会に必要なスキルというのは、ITの活用スキルだけなく、いわゆる「非認知能力」といわれるもの。
プログラミング教育では論理的思考力や問題解決能力、粘り強さといった、社会の変化に左右されずいつの時代も役立つ能力を身につけることができるのです。
プログラミングと聞くとコーディング(プログラミング言語を使ってコードを書くこと)をするイメージが強いですが、コーディングスキルを身につけることが目的ではないということを覚えておきましょう。
プログラミング教育の目的とは?
小学校におけるプログラミング教育の目的は、主に次の4つとされています。
- プログラミング的思考力を育む
- プログラムの働きや良さ、情報社会における情報技術の役割に気づく
- 身近な問題解決に主体的に取り組む態度や、ITを活用して社会に役立てる姿勢を育む
- 各教科の学びをより確実なものとする
①の「プログラミング的思考力」とは、目的達成のために必要な動きを分解して、効率的に道筋を組み立てる力のこと。
簡単にいえば目的を達成するために最適な方法を考え、試行錯誤する力です。
これはどんな職業でも、またいつの時代でも求められる能力ですよね。
プログラミング学習はトライ&エラーを繰り返しながら取り組むものなので「失敗しても諦めず、試行錯誤して目的を達成できた」という経験が、自己肯定感の向上にも繋がります。
では④の「各教科の学びをより確実なものとする」とはどういうことなのでしょうか。
実はプログラミング必修化といっても「プログラミング」という教科が増えるわけではありません。
算数や英語、音楽といった既存の教科に、プログラミング学習を取り入れるかたちです。
たとえば算数では「正多角形をかくプログラムを作る」といった授業がおこなわれます。
これはプログラミングにより正多角形を作図することで、その性質をより確実に理解することが狙いです。
プログラミング学習のメリットとは?
ここからは、プログラミング学習による具体的なメリットについて解説していきます。
習い事としてプログラミング学習を視野に入れている人も、参考にしてくださいね。
論理的思考(プログラミング的思考)が身につく
プログラミング学習を続けていると、論理的思考が自然に身についていきます。
論理的思考とは、物事を体系的に整理して矛盾のない筋道を立てて考えること。
簡単にいえば「問題を正しく把握し、解決に導く思考法」のことです。
先述したプログラミング的思考も、論理的思考のひとつ。
ただしプログラミング的思考は、そのプロセスが「効率的かどうか」も考慮します。
問題解決能力・忍耐力が身につく
子どもがプログラミングを学習する方法はいろいろありますが、いずれにせよ「うまくいかない」と思う瞬間が必ずあります。
失敗したら解決法を考え、再度挑戦する。その過程でプログラミング的思考が身につき、ひいては問題解決能力が向上していくのです。
またトライ&エラーを繰り返しつつ作品を作ることで、自然と忍耐力も養われます。
問題解決能力や忍耐力は、生活や仕事に役立つ「人間力」そのものと言えるでしょう。
創造力が身につく
楽しみながら作品制作をおこなえるのがプログラミング学習の良いところです。
プログラミングはあくまでも表現の手段。楽しみながら色々と試してみることで、その子にしか作れない作品が完成します。
また、ビジュアルプログラミングツールでは作品を世界に公開できるものもあります。
色々な人からフィードバックをもらうと、楽しさや意欲も倍増。
他の人の作品を見て刺激を受けることでも創造力を磨くことができるでしょう。
デジタルデバイスの動作原理を理解できる
多くの人は、デジタルデバイスの中身をブラックボックスとして使用しています。
しかしより自由に使いこなすためには、原理・仕組みを深く理解することが大切。
そして、これからの時代はそのように動作原理を理解したうえでデジタルデバイスを使いこなす人材が求められる社会になると考えられます。
子どもがプログラミングを学ぶことは、そこへ至るための近道になるでしょう。
職業選択の幅が広がる
プログラミング学習で養われた能力は、IT業界でしか活きないわけではありません。
プログラミング的思考や問題解決能力はどんな仕事にも活かすことができます。
もちろん、プログラマーやクリエイターなどのキャリアに進むための素養も養うことができるので、変革の激しいIT業界にも飛び込んでいけるでしょう。
プログラミング学習のデメリットとは?
プログラミング学習にも、残念ながらデメリットはあります。
もしプログラミングを習い事として検討している場合は、デメリットも理解したうえでどのように対処するか考えてみましょう。
導入に費用がかかる
自宅でプログラミング学習を始める場合、導入に費用がかかることがあります。
既にパソコンやインターネット環境があるなら、それを使えば良いでしょう。
しかしそうでない場合は、パソコンや周辺機器の購入から始める必要があります。
もちろん、いきなり高額なパソコンを用意する必要はありません。
それでも初期費用としてはそこそこ高額です。
加えて習い事としてスクールなどを検討している場合は、入会費や授業料もかかります。
体を動かす機会が減る
プログラミング学習に夢中になると、ずっと座りっぱなしになってしまうことも。
体を動かす機会が減るのは、育ち盛りの小学生にとって良いことではありません。
学校の授業は時間が決まっているので心配ありませんが、自宅では子どもが長時間パソコンにかかりきりにならないよう、意識的に外へ連れ出すなどの工夫が必要です。
他教科の学習時間が減る
学校では既存の授業にプログラミングを取り入れるため、従来の授業がうまく進まない懸念があります。
また自宅でも、プログラミングにばかり集中してしまうと他教科の学習が疎かになりかねません。
夢中になれることや、人よりできると言えるものがあるというのは素晴らしいことです。
しかし小学校で習う勉強はすべて、今後学ぶことの土台になります。
他教科もバランス良く学習できるよう、保護者がサポートしてあげましょう。
子どものプログラミング学習方法3つ
プログラミングを学びたい場合、具体的にどのような方法があるのでしょうか。
ここでは自宅でのプログラミング学習方法を3つご紹介します。
スクールに通う
プログラミングスクールは集団授業が基本です。
「交友関係が広がる」「友達と意識を高め合える」というのは大きなメリットでしょう。
また講師から実践的なスキルを教えてもらえたり、いつでも質問できたりする環境は、モチベーションにも繋がります。
ひとりでじっくり学びたい場合は、個別授業のスクールもありますよ。
「ライフスタイルを崩したくない」「子どもをひとりで通わせるのが不安」という場合は、オンラインスクールを利用するのもおすすめ。
内容としては大きく分けてロボットを使った学習方法と、アプリ・ソフトを動かすことによる学習方法の2つがあります。
通信教育を利用する
隙間時間に学習したい場合やプログラミングスクールに抵抗がある場合は、学習キット・本・ソフトなどの教材を使って自宅で学習する方法があります。
プログラミングを学べる小学生向けの通信教育もありますよ。
通信教育はスクールに比べて費用が抑えられるうえ、好きな時に学習できるのが魅力。
サービスによりそれぞれ特色があるので、資料請求して比べてみましょう。
教材の無料体験ができるサービスもありますよ。
無料で学ぶ
無料の教材を利用すればリーズナブルにプログラミングを学べます。
例えば無料ソフトでは、小学校でも導入されているScratch(スクラッチ)や、自分で描いた絵を動かせるViscuit(ビスケット)などが有名です。
ただし、きちんとプログラミングを学ぶなら質問できる環境を整える必要があります。
そのため、教える側として親もある程度は使い方を学ぶ必要があるでしょう。
プログラミング的思考を手軽に身につけたい場合は、アンプラグドプログラミングから始めてみるのもおすすめです。
まとめ:プログラミング学習で思考力を鍛えよう
小学生のプログラミング教育の目的は、プログラミング言語を習得することでなく非認知能力を育むことです。
子どもの人間力を育めるプログラミング学習を、ぜひご家庭でも取り入れてみてはいかがでしょうか。
一口にプログラミング学習といってもその方法はさまざま。
無料で試せるものもあるので、ぜひお子さんと一緒にチャレンジしてみてくださいね。