プログラミング教育を受けていない親世代にとって、プログラミングの授業は未知の世界。
- 小学校の先生にプログラミングが教えられるのか
- 我が子は授業についていけるのか
- 親としてどうサポートすれば良いのか
といった不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「小学校のプログラミング教育」に対する不安と、その解消方法を紹介。
学校外でおこなえるプログラミング学習についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
プログラミングが必修化された背景とは
プログラミング教育に不安を感じるのは、小学校でどのような教育をおこなうのか知らないことが最大の原因。
そこで、まず小学校におけるプログラミング教育の具体的な内容について解説していきます。
授業の内容と狙いを理解したうえで、不安をひとつひとつ解消していきましょう。
小学校ではどのようなプログラミング教育がおこなわれるのか
プログラミングが必修化されたといっても、「プログラミング」という教科が増えたわけではありません。
小学校のプログラミング教育は、算数・国語といった既存の科目の中でおこなわれます。
実際におこなわれている授業例
【算数】Scrach※の倍数を求めるプログラムを通して、倍数の性質を考える
【理科】人感センサープログラムを通して電気を無駄なく使う方法を考える
【英語】Scrachの地図を使って道案内の英語表現を学ぶ
【総合】ロボットを制御してコースを走らせる
※Scrach(スクラッチ):ビジュアルプログラミング言語のひとつ
参考:文部科学省「プログラミング教育ポータル」
プログラミングの必修化には、既存の学習の時間が少なくなるデメリットもあります。
一方で、情報活用能力や情報社会に参画する姿勢が磨かれることは間違いありません。
小学校におけるプログラミング教育の目的
小学校のプログラミング教育は、プログラミング的思考力や創造力、問題解決能力などの育成を目的としておこなわれるものです。
近い将来、多くの仕事をコンピュータが代替できるようになるといわれています。
そのとき求められるのは、コンピュータにはない思考法や表現力。
そしてコンピュータの仕組みを知り、積極的に活用し可能性を拡げていく力です。
小学校でおこなわれるプログラミング教育ではコーディングスキルは身につきません。
しかし「プログラミング的思考」「問題解決能力」といった、いつの時代にも役立つ普遍的な能力を身につけることができるのです。
親が抱える「小学校プログラミング教育」3つの不安と解消法
保護者が「小学校のプログラミング教育」に対して抱える不安は、大きく分けると以下の3つではないでしょうか。
- プログラミング教育の質はどうか
- 子どもが授業についていけるか
- 親としてきちんと学習をサポートできるか
不安の解消方法も含め、詳しく解説していきます。
不安1. 小学校プログラミング教育の質
プログラミング教育を受けてこなかった世代の先生に、プログラミングを教えられるのかという不安を感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。
特にデジタルネイティブ世代ではない年配の先生となると、デジタルに苦手意識があることも少なくありません。
もちろん文部科学省は、生徒が受けられる教育の格差をなくすべく、教員向けの研修教材・学習機会を提供するなどの対策を講じています。
しかし、まだ学校ごとの格差が生じているのも事実。
先生によっては、アンプラグド(端末を使わない学習方法)に偏る可能性もあります。
そのため授業レベルに不安がある場合は、自宅での学習も視野にいれると良いでしょう。
自宅での学習方法は後述します。
不安2. 子どもは授業についていけるのか
つづいて「自分の子どもは授業についていけるのか」という不安についてです。
実際「パソコンに触れたことがない」「プログラミングに触れたことがない」というお子さんは少なくありません。
最初でつまずくと嫌になってしまうかもと考えると、前知識なしでいきなり授業を受けさせるのは不安ですよね。
ただ、この点は過度に心配しなくても良いでしょう。
たとえば授業で使われることの多い「Scratch」というプログラム言語。
これはブロックを組み合わせるだけなので、小学生でも直感的に操作できます。
ただ、先述したとおり学校ごとに授業の質に差がある可能性は否定できません。
またScratchの操作自体はできても、プログラミング的思考力がまだ身についていないために、ブロックの組み合わせ方がわからず嫌になってしまう可能性はあります。
もし「自宅でもプログラミングに触れさせておきたい」ということであれば、この後紹介する親ができるサポートの項をチェックしてください。
不安3. 親はどのように学習をサポートするか
子どものプログラミング学習をどうサポートすれば良いのか、悩む人は少なくありません。
とはいえ一度興味を抱きさえすれば、子どもは驚異の集中力を発揮するもの。
それ以前の段階をサポートするのが親の役目といえるでしょう。
具体的には、短時間でも良いので以下のようなことを子どもと一緒に取り組んでみるのがおすすめです。
子どもと一緒にパソコンを触ってみる
プログラミング教育において、パソコンを触って「楽しい」と思える体験は大切です。
小学校でもパソコンを使う場面は多々あります。
そのため、マウス操作やタイピングは一緒にやっておくと良いでしょう。
小学校の授業でブラインドタッチができなければ困るということはありませんが、マウスはビジュアルプログラミングでよく使いますし、タイピングもいずれ必要になります。
今の小学生が大きくなる頃には、CBT試験(コンピュータで試験を受ける)が当たり前の時代になっているはず。
ローマ字を習うのは小学校3年生からなので、タイピング練習もそのくらいの年齢を目安に始めましょう。
以下のようなサイトを利用すれば、楽しく練習できますよ。
Scratch(スクラッチ)を触ってみる
スクラッチは小学校でもよく使われるビジュアルプログラミング言語。
無料で利用できるので、ぜひ子どもと一緒にやってみましょう。
授業で初めて使うときに「これ知ってる!」という状態にしておけば、苦手意識を持ちにくくスムーズに授業に取り組めますよ。
何より親と一緒に新しいことに触れるのは、子どもにとって嬉しいもの。
「プログラミング学習って楽しいな」と思える土台を作ってあげたいですね。
なお、スクラッチはタブレットとパソコンに対応しており、対象年齢は8歳~16歳です。
また5歳~7歳向けには「ScratchJr」というアプリも用意されていますよ。
アンプラグド学習に取り組む
アンプラグドプログラミングは、端末を使用せずに教材やトランプなどで学習する方法です。
あまりお金をかけずに手軽に始められるので、遊びの一環として取り入れるのもひとつの手。
アンプラグド学習の詳細は以下の記事で解説しているので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。
自宅学習にもプログラミングを取り入れよう
「プログラマーになるわけでもないのに、プログラミング教育なんて意味ない」「論理的思考を身につけるなら算数でじゅうぶん」という声も聞かれます。
しかし、プログラミング教育で身につけられるスキルはIT化が急速に進む社会で求められるものばかりです。
2025年からは「情報」が大学入学共通テストの新たな試験科目となることが決定されています。
今はまだ「情報には配点しない」としている大学もありますが、進路を大きく左右する変更点であることは間違いありません。
この試験で求められるのはICTの慣れではなく、プログラミング的思考力。
大学入試は、知識偏重型の出題から思考力や判断力を測る形式へと変化しているのです。
そのため、プログラミングは国語や算数と同じように小学生のうちからしっかり学んでおくのがおすすめ。
「進研ゼミ」や「スマイルゼミ」といった通信教育でも、国語や算数などの教科に加えてプログラミングを学べるので上手に活用してみましょう。
しっかり学びたいならプログラミングスクール
自宅でScratchを触るだけでは物足りない、しっかりプログラミングを学ばせてあげたい、という場合は習い事として取り入れるのもおすすめ。
プログラミングスクールは通信教育よりも費用はかかりますが、わからないことを講師にすぐ質問できるうえ、友達の存在が良い刺激になります。
スクールごとに特色があるので、子どもの適性やライフスタイルに合わせて選んでみましょう。
まとめ:学校外でも上手にプログラミング学習を取り入れよう
プログラミングが必修化されたとはいえ、しばらくは学校側も手探りの状態。
授業だけでは不安というときは、自宅で触るか習いごとに取り入れると良いでしょう。
手軽に試したい人は、遊びながら学べるアンプラグド教材もおすすめ。
アンプラグド教材は親子で一緒に楽しみながらできるものが多く、家族団らんにも一役買ってくれます。
ぜひ、お子さんに合った学習方法を取り入れてみてくださいね。