小学校では2020年から必修化されたプログラミング教育。
一体どんなことがおこなわれるのか、気になっている人もいるのではないでしょうか。
今回は、小学校でおこなわれるプログラミング教育の具体例を学年別に紹介。
小学校でよく使われる学習ツールも紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
【学年別】小学校プログラミング教育の具体例
小学校のプログラミング教育は、国語や算数といった既存の教科と組み合わせておこなわれます。
学校ごとに授業内容は異なりますが、端末を使わないアンプラグドプログラミングから始めるのが一般的。
この項では学年別の授業実践例を紹介するので、授業の雰囲気を知りたい人は参考にしてください。
小学校1年生プログラミング教育の実践例
1.【国語】プログラミング絵本を使って登場人物に指示を出す
プログラミング絵本「ルビィのぼうけん」のキャラクターであるルビィやペンギンに、カードやシールを使って指示を出します。
例えば「前に進む」「右に曲がる」「ジャンプする」などです。
指示を出したら実際にカードやシールを並べて、ルビィやペンギンがどのように動くか確認します。
- 物事を順序よく捉えたり、論理的に考えたりする「プログラミング的思考力」の基礎を育む
- 絵本の内容に沿って、言葉・文字の意味や使い方について学ぶ
2.【算数】カードやビーズを使って数や図形のパターンを作る
カードやビーズを使って色や形のパターンを作ります。
例えば「赤、青、赤、青…」や「丸、三角、四角、丸、三角、四角…」などです。
パターンを作ったらそのルールを言葉で説明したり、他の人のパターンを予測したりします。
- 数・図形の規則性や法則性に気づいたり、表現したりする力を育む
- パターンを作ることで、プログラムの構造や動作について理解を深める
小学校2年生プログラミング教育の実践例
1.【国語】プログラミング教材を使って漢字を分解したりくっつけたりする
ビジュアルプログラミング言語「ビスケット」を使って、漢字を分解したりくっつけたりします。
例えば「晴」を「日」と「青」に分けたり、「日」と「生」をくっつけて「星」にしたりなどです。
- 漢字の作りや意味に気づいたり、表現したりする力を育む
- 漢字をプログラムで表現することで、プログラムの構造や動作について理解を深める
2.【音楽】プログラミング教材を使って繰り返しのリズムを作る
ビジュアルプログラミング言語「スクラッチ」を使い、様々なリズムの組み合わせを試します。
自分のイメージ通りの音楽を作れるよう、反復などの音楽の仕組みを活かして工夫を重ねる授業です。
- リズムや音楽の仕組みに興味を持ち、音楽作りに進んで取り組む姿勢を育む
- リズムの面白さを感じ取り、簡単なリズムを演奏したり反復を活かしたリズムを作ったりできるようになる
小学校3年生プログラミング教育の実践例
1.【算数】プログラミング教材を使って分数や角度の計算をおこなう
スクラッチを使い、分数や角度の計算をおこないます。
分数や角度の計算をプログラムでおこなったあと、実際に計算器などを使って答えを確認します。
- プログラミングを通して、分数や角度の意味や性質について理解を深める
2.【理科】プログラミング教材を使って電気の流れや回路の仕組みを学ぶ
Microsoft開発のプログラミング環境「MakeCode」を使って、電気の流れや回路の仕組みを学びます。
電気の流れや回路をプログラムで表現したあとは、実際に電池や電球を使って実験をおこないます。
- 電気の流れや回路をプログラムで表現することで、電気の仕組みや現象について理解を深める
小学校4年生プログラミング教育の実践例
1.【算数】プログラミング教材を使って小数や割合の計算をおこなう
スクラッチを使って小数や割合の計算をおこないます。
小数や割合の計算をプログラムでおこなったあと、実際に計算器などを使って答えを確認します。
- プログラミングを通して、小数や割合の意味・性質について理解を深める
2.【社会】プログラミング教材を使って47都道府県を見つける
スクラッチで都道府県の特徴(人口・特産物など)が記されたブロックを組み合わせ、その条件に合致する都道府県を特定する授業です。
特定するために地図帳を読み込んで、各都道府県の特徴を探します。
地図や条件を変えれば、6年生や中学生の授業でも活用できる学習方法です。
- 楽しみながら47都道府県の名称と位置を覚える
- 地図帳を活用せざるを得ない状況にすることで、都道府県の理解を深める
小学校5年生プログラミング教育の実践例
1.【国語】プログラミング教材を使って敬語の使い方を考える
スクラッチを使用して、選択肢から適切な敬語を選択します。
選択肢とは「①父・②お父さん」や「①いらっしゃいません・②おりません・③いません」などです。
入力した組み合わせによりイラストが変化するので、試行錯誤したり友達と共有したりして正解を模索します。
- 丁寧語・尊敬語・謙譲語の規則性や適応性を追求し、意味や使われ方を理解する
- 場面や人物に合った敬語を選択できるようにする
2.【図画工作】プログラミング教材を使って自分だけの模様を作る
まずコンピュータで絵を描いて色の種類や明るさ、鮮やかさについて学習します。
そのあとビスケットの機能を活用して、自分のイメージ通りの「動く模様」を作成します。
複数の形・絵にどのような順序でどのような命令をすればイメージ通りに動くか、試行錯誤して模様を作る授業です。
- 自分の表したいことを見つけたり、工夫して表したりできるようにする
- 作品の良さや美しさ、表し方などを感じたり考えたりして、自分の見方や感じ方を深める
小学校6年生プログラミング教育の実践例
1.【理科】プログラミング教材を使って電気を効率よく使う方法を考える
MakeCodeでプログラムを組んでmicro:bitという小さなコンピュータを動かし、電気を効率よく使う方法を考える授業です。
例えばmicro:bitの明るさセンサーを活用して、暗いときだけ照明を点けるプログラムを考えます。
- プログラムにより節電できる、便利な道具が身近に使われていることに気づく
- 電気を利用した道具の使い方を見直し、どんな工夫ができるか考える
2.【家庭】プログラミング教材を使って朝食を考える
献立を構成する要素や献立作成の方法を確認して、実際に朝食の献立を考える授業です。
また5年生でおこなった鍋での炊飯の経験を活かし、スクラッチの炊飯器シミュレータを用いてご飯を炊くためのプログラミングをおこないます。
- 献立を考え、おいしく食べるために調理計画を工夫できるようにする
- 家庭での実践へと繋げる
- 炊飯器などの身近なものにコンピュータ(プログラム)が活用されていることに気づく
小学校で使われるプログラミング教材例
小学校ではさまざまなプログラミング教材を使って授業がおこなわれています。
予習しておきたい人や家庭学習にプログラミングを取り入れたい人は、ここで紹介する教材例をぜひ参考にしてください。
ルビィのぼうけん
ルビィのぼうけんは、フィンランドのプログラマーであるリンダ・リウカスが作ったプログラミング絵本です。
好奇心旺盛な女の子「ルビィ」が宝石集めを通してプログラミングに必要な考え方にふれる物語と、練習問題があります。
プログラミングのコードは出てきませんが、問題を分解したりパターンを見つけたりするスキルを楽しく学べますよ。
小学校プログラミング教育の雰囲気を掴むには最適な入門書です。
Scratch(スクラッチ)
スクラッチは、ブロックをつなぎ合わせることでプログラムを作れるビジュアルプログラミング言語です。
アニメーションやゲームなどの作品を作ることができます。
学校では国語や算数などの教科と組み合わせて、プログラミング的思考力や表現力を育みます。
多くの小学校で使用されるうえ無料で使えるので、自宅で触ってみるのもおすすめですよ。
viscuit(ビスケット)
ビスケットは、自分で描いた絵を動かせるのが最大の特徴です。
シンプルな操作で単純なプログラムから複雑なプログラムまで幅広く作成できます。
難しいルールがないので、プログラミング初心者にもおすすめ。
無料で使用できます。
micro:bit(マイクロビット)
micro:bitは、LEDやボタンなどがついている小さなコンピュータ。
タブレットやパソコンでプログラムを作り、micro:bitに送ります。
温度や方位などの情報を取得したり無線通信したりでき、プログラミングの応用や発展を学べます。
小学校におけるプログラミング教育のねらい
小学校のプログラミング教育は、プログラミング言語の習得が目的ではありません。
物事を順序よく捉える、論理的に考えるといった「プログラミング的思考力」を育むことが目的です。
ただし必修化されて暫くは、学校により授業のクオリティに差が出る懸念も。
学校の授業だけでは不安を感じるという場合は、自宅で子どもと一緒に教材を触ってみたり通信教育を受講させてあげたりなど、親がケアしてあげると良いでしょう。
まとめ:各教科の学びを深めるプログラミング教育
今回は、小学校プログラミング教育の具体的な内容について解説しました。
プログラミング教育はコーディングスキルを磨くのが目的ではなく、社会の変化に対応する力を育む学習です。
この記事で紹介した各学年の授業実践例やよく使われる教材を参考に、ぜひ自宅でもプログラミング学習を取り入れてみてくださいね。